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踏ミ出シタソノ足ハ改

踏ミ出シタソノ足ハ改<第一話>

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〈1〉



 足元のひび割れた路面から、春の息吹が顔をのぞかせていた。黒くごついアスファルトの断面から、小さな緑色の若芽が背伸びをしようとしているように見える。
 縦長の町に寄り添うようにして流れる川。大きいとは言えないけれど、小さくはないその川沿いの土手の上に、その道――サイクリングロードはあった。結構人気のコースらしく、平日の昼間であっても、派手なウエットスーツのようなものを着た、いかついおじさんたちが列をなしてものすごいスピードで自転車を走らせている。
 気づくといつのまにか、ここに来ていた。
 四月も終わりに近づく学校の帰り。朝日どころか夕陽すらまだ遠い時間帯に、それでもどこからか太陽が上ってくるような気がして、私は川の向こうの山を見つめた。
 憂鬱だった。
 だから、ここに来たのだろうか。
 自分を連れてきた足に聞いてみても、当然答えてくれるわけもない。小さくため息をつき、立ち止まると、自然と今日の学校で起こったことが頭の中でリピートされていた。

「演劇をやろう」
 私達にとって最後の文化祭となる、七月に向けクラスでの出し物を決めようとしていた時。
 そう提案した奴がいた。
 チビ――もとい、飯岡蓮《いいおかれん》。まだクラスメイトとなって一ヶ月も経っていないけれど、その背の低さから一瞬で意識の中に入ってきていた。それこそ、見た瞬間に自分の中で「チビ」というまるでペットのような仇名をつけたほどだ。
 その提案自体は、よくあるものだった。
 別に、最後の文化祭でクラスとして演劇をすることは、珍しいことじゃない。
 ただ、その「演劇」という言葉で思い出したことがあった。いや、正確には思い出したのではない。ずっと――頭の片隅に居座り続けてきたことを、また強く意識してしまったのだ。
 とたんに自分という人間が、本当に嫌になった。
 ――高三にもなって、まだ何も決められていない。何もしようとしていない。二年前のあの時から、何も変わっていない。
 こんな自虐的なことをずっと考えていても、仕方がないのは分かっていた。それでも、その考えは頭をどうしても離れようとしない。
 だから、思い出したくなかったのに。
 頭から離れようとしない記憶は、まるで私に『思い出せ』と言っているようだった。
(――全ては飯岡が悪い)
 八つ当たりだと思っていも、そう決めつけないと心が休まらなかった。さんざん口には出せない悪態を心の中でついたあと、私はまだ消えようとしない記憶と共に、帰路についた。
 四月のこんなにも心地よい時期なのに、なんだかついてない。
「それもこれも、チビ、お前のせいだ」
 口に出すと、ようやく少しスッキリした。  






<第二話>


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