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踏ミ出シタソノ足ハ

踏ミ出シタソノ足ハ<エピローグ>

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【Epilogue】

 いつのまにか、日が随分と傾いて、川の反対側の山へとかかろうとしていた。そもそも川沿いの土手が高いのと街全体として大きな建物がないことが合わさって、大きな夕日がはっきりと見える。
 そういえば、毎朝朝日は見ていても、夕日はほとんど見たことがなかったのを今更知る。朝日よりも、けっこう目にするものだから、今までそこまで意識したことはなかった。
 土手を上がって、三人で夕日を見つめる。
「おお、オレ初めてこんなふうにしっかりと夕日が沈むの見た」
 飯岡が興奮したように言う。
「確かにしっかりと見たのは初めてかも」
 それに、啓が同調した。
 私たちはなにも言わずに、夕日が徐々に山際からその姿を隠していくのを見ていた。それは、改めて見ると「一日を終わらせている」そんな貫禄を持っていた。やがて最後の光を地上に投げかけてからその姿を隠す。途端、少し気温の下がった風が吹き始める。
 その心地よさに身を預けながら、
「そろそろ帰ろ」
 そう二人を促して、歩き出した。
 この季節なら、すでに七時を回っているはずだ。
「そういえば、二人共どうやってこの場所が分かったの?」
 慌てて後をついてくる二人に尋ねると、
「オレは神井のあとをつけた」
「私は飯岡のあとを追いかけてきたら」
 そう返ってきた。なんだかおかしくて、くつくつと一人で笑ってしまう。
 やがて、駅の前で電車組の啓と別れ、市内でも随分と離れたところに住んでいるらしい飯岡とも途中で別れる。
 家にたどり着くと、お母さんが家の前にたってこちらを睨んでいる。
「理由は?」
 ただいまも言わせずに、そう切り出された。
「ちょっと、補習があって……」
 とっさに出てきた嘘は、お母さんの眼光に竦められて、尻すぼまりになった。これじゃ、嘘だとまるわかりだ。
「さぁ、話しなさい」
 ドスの利いた声で脅され、私はついに観念した。一度話しだすと止まらない。喋らないでおこうと思っていたことまで、うっかり喋ってしまう。
 十五分後。あたりには、お母さんの笑い声が響きわたっていた。時間帯によっては近所迷惑になるんじゃないか――いや、既になっているような気もする。
 やがて、ようやく笑いが収まった母さんは、それでも息絶え絶えに言った。
「――青春してるのね、アンタたち」
「うるさい!」
 カチンと来て、鼻息荒く通り抜けようとすると、今度は素直に横にどけた。いい加減お腹が減っている。急いでドアを引くと中から美味しそうな味噌汁の匂いが漂ってくる。
「ただいま!」
 そう叫んで、家の中に乗り込む。
 ふと後ろから、お母さんの声が風に乗って運ばれてきた。

「何かを始めようと思った時――それはすでに始まっている、ってやつね」








【完】









ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!!
近日、踏ミ出シタソノ足ハ(改)の方もUPいたしますので、興味がおありの方は合わせて読んでいただけると面白いかもしれません。ほとんど改稿というよりも別作品になっていますが……。



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~ Comment ~

Re: こんばんは^^

> 読みました~~!

ありがとうございますー!

> 青春してますね^^

そうなんです。
この作品を書いたのはかなり前なのですが、その頃はもっと青春していたような……。生涯青春で行きたいです。

> 「終わりは始まり」――うん、私もそう思います^^

終わりは始まり、という詩を、昔の恩師が送ってくれたのです。
そこから発想しました。
それでも、まだ物足りない部分だらけで、改稿したのですけど……。

> 昨年書いたお礼短編でも話をしていました!
> いいですよね。こういう感じって^^
> やっぱり何かを始めるって、まずは終らせないとですとね^^

ですです。
自分はなにかと物事を引きずって、先延ばしにしていく傾向があるので、どこか自分への戒めも混ざっているかもしれません。

> 色々悩んで戸惑って、変わろうと思って、ちょっと臆病になって。
> でも何かしたいなぁと思う気持ちがまずは大切で。
> お母さんの「すでに始まっている」って、本当にそうだと^^
> もうすでに、諦めていた自分とは少しだけ変わっている。

小さなことでも、自分を認めていくことから何事も始まるようなきがするのです。
自分の周りには立派な人ばかりがいて、ほんとうに高い理想を持って毎日を生き抜いているのですが、その中で自己嫌悪を抱くことも多く……。
そんなことも考えながら書きました。
いつになっても「なにかしたい」という気持は失わずにいたいですねー。

> 完璧に決めてしまえる、そんな人とは違うもどかしさもなんだかいいなぁと思います^^

自分としては自分の決めたことを完璧にやりこなす人に、凄く憧れを感じます。
でも、どっちもどっちなんでしょうね。
そんなもどかしさの中から生まれてくるものも、確かにあるんだと思います。

なんだか、作品について語っているのか自分について語っているのかよく分からなくなってしまいましたが、とにかく、読んでいただき、ありがとうございました!
近日、まったく別物(登場人物の名前だけ同じ)の改稿版をUPすると思います。
どう変わったのか興味がおありでしたら、ぜひ!!

改めまして、本当にありがとうございました!

こんばんは^^

読みました~~!
青春してますね^^
「終わりは始まり」――うん、私もそう思います^^
昨年書いたお礼短編でも話をしていました!
いいですよね。こういう感じって^^
やっぱり何かを始めるって、まずは終らせないとですとね^^

色々悩んで戸惑って、変わろうと思って、ちょっと臆病になって。
でも何かしたいなぁと思う気持ちがまずは大切で。
お母さんの「すでに始まっている」って、本当にそうだと^^
もうすでに、諦めていた自分とは少しだけ変わっている。
完璧に決めてしまえる、そんな人とは違うもどかしさもなんだかいいなぁと思います^^
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