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On the Top of That Mountain(長篇)《連載中》

On the Top of That Mountain《間章1》【第十話】

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《10》


 いくら肉体的な力で優っていても、逆らえない上下関係というものがある。
 これは、ついこの前にも思ったような気がするけれど……。 
 つまり、何かというと、最終的に僕は夏祭りに参加することになってしまったのだった。
「それじゃ、そういうことで」
 強引に話をまとめた姉さんがそう言うと、
「はい、またその時に」
 と浦川は微笑んで答えた。
 そして、帰っていく。
 なんだかんだで、何も聞くことができず、僕に残されたのは強制的に蘇らされた嫌な記憶と、それをほじくり返すような盆踊りへ参加する約束だけだった。
「覚治、まさか行かないなんて言わないよね?」
 前と同じように玄関まで見送りに行き、ドアが閉まった途端、姉さんがぎろりとこちらに目を向けた。
「ちょっと宿題が――」
「ちょっと何言ってるかわからない。参加するってことでいいのね?」
 僕のささやかな反撃は、原語として認識されなかったらしい。これ以上逆らっても無駄と判断した僕は、
「……おーけー」
 やる気なく、承諾した。
 実は少し、浦川の浴衣姿が楽しみだったのは、永遠の秘密だ。

 それからまたしばらく、だらだらと日常が過ぎ、僕は毎日着実に宿題を仕上げていた。
 ここしばらくは、外に出ずにずっと机に向かっている。そして姉さんはと言うと、相変わらずべっちゃりと寝そべり、畳と友好関係を築いていた。
 そして、夏祭りの当日がやってくる。ちょうどお盆の時期とかぶるのだが、うちの家族はもともとお盆に帰省したこともあまりない。
 その日の朝、僕はついに夏休みの宿題を終え、その達成感に浸っていた。
 横では姉さんが珍しく起き上がり、タンスの中を探っている。
 浴衣を探しているのだという。
「僕は――」
「覚治も着るから」
 嫌な予感がして声をかけてみると、言い終わる前に答えが帰ってきた。
 ……やっぱり。
 でも、もう小さくなって着れないんじゃないだろうか。だいたい、最後に浴衣を着てから、もう三年くらい経っている。
 あれは、なんだっただろうか。
 前にいた学校で、レクリエーションみたいなもので着たような気がする。
 ともかく、サイズのことについての懸念を伝えてみると、
「そこが、和服のすごいところなんだなぁ」
 自慢をされた。何が何だか分からない。
「ちょっと大きくなっても、ちゃんと調整できるようになってるのが、和服なんだよね。覚治――甘し!」 
 とにかく姉さんはそう得意げに言って、蝶の柄がついた見るからに女性っぽい浴衣と、地味な茶色っぽい男物の浴衣を引っ張りだした。
 それを広げ、思案顔で見つめている。
「調整って……姉さんが?」
「もちろん!」
 ふと思いついた疑問に元気よく答え、姉さんは茶色い方の浴衣を持ち上げて僕に渡した。
「ちょっと、着てみて?」
「ええー」
 めんどくさかったのて、抵抗する。
 すると、
「別に変なサイズで人前に出てもいいなら、構わないけど」
 いたって常識的な指摘をされ、はあい、と部屋を後にしようとした。
「あ、別に服の上からでいいよ」
 後ろから声が追いかけてくる。
「マジで?」
「うん、そんなに細かい調整をするわけでもないし」
 手に持った浴衣を広げる。
 予想外に重かった。浴衣ってこんなに重いものだっけか? 
 袖を通すと、なんだかスースーする。
 前をしっかりとあわせて手でおさえてみると、なんだか木が引き締まったような気がした。
 こんな和服の感覚も久しぶりだ。
 姉さんが、手を止めてこっちへとやってきた。どうやら調整というやつをするつもりらしい。
「ん……?」
 しかし、その前に玄関のベルがなった。宅配便か何かだろうか。
「ちょっと待ってて」
 姉さんが小走りで、玄関の方へと向かう。ガチャリとドアをあける音がして、次に「どうしたの?」と驚いた声がした。
「すみません、ちょっと……」
 来訪者の声がする。
 それはもしかしなくても、浦川の声だった。それと同時に、チビ達の声もする。
 夏祭りは夕方からだ。
 なぜこんな早くに来たんだろう。
 僕は浴衣を脱ぎ捨て、玄関へと向かった。
 




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《10》 いくら肉体的な力で優っていても、逆らえない上下関係というものがある。 これは、ついこの前にも思ったような気がするけれど……。  つまり、何かというと、最終的に...
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