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即興小説(掌編、散文)《随時UP》

雑文2

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夜の灰色がかった田んぼが景色が、次々と横を通り過ぎていった。
 ペダルを漕ぐ足に力を込めると、そのスピードが更に早くなる。耳元で風が不安定に激しく鳴った。時に強く、時にとても強く。片耳にイアホンを入れて聞いていた音楽が、逆に雑音のように聞こえた。
 左手から、黒いものが近づいてきた。ただでさえ暗い夜の闇の中で、更に暗く見える。
 目を凝らすとそれは、茶畑の上を覆っている、黒い幕だった。名前はよく知らない。ただ、そこらじゅうで見かける。その理由も知っている。茶に太陽を当てないようにすることで、ここらの特産品である玉露などを作るためだ。そこまで知っているのに、名前は知らない。聞いた覚えもない。不思議なものだと思う。
 そんなことを考えているうちに、田んぼの中にポツリとある茶畑は通りすぎていった。
 早春の夜の風はまだ冷たく、僕の頬を撫でていく。それでも、冬の時に比べればまるでマシだ。それよりも問題は、手だった。気づけば、指が動きにくくなっている。無理やりひらくと、今度は閉じれなくなる。ブレーキがかけられない。これは危ない。慌てて、片手をポケットの中に非難させ、片手運転で体勢を保った。
 スピードが落ちると、暗闇の中で少しずつ景色が見えるようになってきた。田んぼの奥にある、溜池の土手。もう少ししたら、一気に草が伸び始めて賑やかになるが、いまは何も見えない。おそらくそこには、冬の間に刈られた枯れ草が重なっているのだろう。 
 その水門の横に生える、ポプラの木。葉が残っているかどうか目で枝先まで追うと、空の闇に紛れて見えなくなっていた。その空には、星があるはずだが、よく見えなかった。
 突然ガクン、と自転車が激しく突き上げられた。反射的にポケットから手を出し、なんとかバランスを保つ。農道に多くある、路上に開いた穴に嵌りかけたのだと、瞬間的に理解した。昼間に見た時には余裕で避けるそれも、夜の闇に紛れるとまるで視認できなくなる。
 余所見はよそう。慎重に運転しよう。
 そう決めて、また前を向いた。土を盛って作られた小さな焼却所が迫っていた。その横に経つ青いトタン屋根の家の、その青がやけに明るく目に写った。そこを道なり左に曲がると、またすぐに左折する。半ば来た方向と同じ方向へ戻るようにして、一直線の道を走った。
 田んぼや畑の中に立つ、農具小屋であったり、何かの倉庫であったり、木であったりが、その先にある住宅街の明かりを後ろから受けて黒々としている。ふいに、それらが突然動き出しそうな、そんな錯覚を覚えた。黒いものは、実際以上にどこか大きく見える。早く住宅街へ辿り着こうと、僕はもう一度足に力を込めた。



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