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即興小説(掌編、散文)《随時UP》

雑文1

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編みカゴにはいったそれが持って来られた時、僕達は歓声をあげた。
 いや、入っていると言うよりは、のせられているという方が正しいだろうか。予想していたよりはるかに大きな楕円型のそれは、思ったより質感があった。小麦を練って焼き上げた白い表面は、ところどころ焦げて膨れている。パサパサしていると言うよりは、しっとりしているように見える。
「ありがとうございます」
 律儀に頭を下げながら、一気に六つほど腕に抱えられてきたそれを、僕達は奥の席の方へとまわしていく。さっそくちぎろうとした誰かが、
「熱っ」
 と声をあげるのが聞こえた。
「あ、熱いから気を付けろよ」
 いまさらなことを誰かが言っているのも聞こえた。
 やがてテーブル全てにそれが行き渡り、僕の目の前にもそれが鎮座していた。大きさは、肩幅くらいはあるだろうか。ちょっと触って熱さを確かめた後、期待と共にそれをちぎり取る。焦げた部分が砕けて、パラパラとテーブルの上に落ちた。
 もっちりとした感触だった。ちぎられた断面から白い湯気があがる。手にある小麦の感触を確かめながらそれを半分に折って、口に運んだ。
 素朴な小麦の旨みと、意外な甘さが口の中に広がり、僕は夢中でそれを頬張った。結構噛みごたえがある一方で、決して飽きない味わい。それは、まさに素朴な美味しさ、と表現する他にない。まるで、ほとんど小麦と水だけで作った、焼きたてのパンのような美味しさだと思った。いや、材料はほとんど同じだから当然なのかもしれない。
 僕は、横にカレーがあるのも忘れて、ひたすらそれを食べ続けた。
「ここのナンって、本当に美味いよな」
 誰かがそうつぶやいた。


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